何をするにも遅いことはない
現在、助っ人を求められたときに限って保育士として働き、仕事の中心は書くことだ。
土日も仕事しているので、連れ合いは「もうちょっと仕事減らせ。散歩も行けないじゃないか」とブーブー言ってます。日本語は読めないし、私も日本での仕事と英国での暮らしは切り離しているんですが、このコロナの事態になってからはネットで取材を受けたりするのがふつうになったので、なんとなく状況がわかってきたんじゃないでしょうか。
息子はネット環境を整えてくれたり、水を持ってきてくれたり、アシスタントみたいに助けてくれています。
出産する前は、子どもが大嫌いだったんですよ。連れ合いがあんまり欲しがるから、英国のNHS(国民保健サービス)で1サイクルだけ無料でやってもらえるIVF(体外受精)治療を受けたんですね。まさかできるとは思ってないのにできちゃって、正直「どうしよう……」という感じでした。
でも、実際に妊娠して、生まれてみると、誰かの命を授かるという体験はそうないことでした。息子が生まれなければ託児所で働くこともなかったし。人生の大きなターニングポイントになりました。
英国に来たとき、50歳になって大学に通うとか、看護師になる勉強を始める人が多いことに驚いたんです。日本では50歳といえば、「もう」というか「上がり」でしたから。でも、私が本格的に書き出したのも50歳になってから。何をするにも遅くはない。秋には、金子文子の子ども時代の連載をある雑誌で始めます。