オリジナル演目「浪曲シンデレラ」をドレスに三味線姿で披露する玉川奈々福さん(写真提供:玉川さん)

「千人斬り」や「ココ・シャネル」も

重松 お二人とも、オリジナルの新作もどんどんつくっていらっしゃいますね。奈々福さんといえば、「浪曲シンデレラ」が有名。

奈々福 小説を読んだり、映画やお芝居を観て、「これをやりたい」というものから新作をつくることが多いです。

重松 「やりたい」と思わせる決め手は何なのでしょう。

奈々福 私は、後先考えずに自由に生きる人が好きなんですね。自作で気に入っているのは、幕末から明治にかけて実在した歌人で、女性ながら「千人斬り」をやってのけた話(笑)。爽やかに千人の男性と関係を持つ。

 あら、ふふふ……。

奈々福 千人斬りを成し遂げたあかつきには、ご存命の関係各位にお赤飯を配るんです。常識から逸脱することを恐れず、自分が誠と思うことに対し正直で、人にどう言われようと決然としている。そういう人たちが好きかな。

重松 蘭さんのオリジナルには、「婚活講談」など、世相とリンクしたものもたくさんあります。

 「婚活講談」は10年前からやっています。婚活って、白馬の王子様を待つのではなく、自分から男を狩りにいかないとダメ。就職もそう。とにかく自分が行動しないといけないっていう現代の人生講談をやりたかったんです。それとは別に、歴史上の人物などで、「この人の人生を語りたい」というものも、創作講談にしています。

重松 蘭さんはどういう人に惹かれ、作品にしているんですか?

 たとえばココ・シャネル。日本でいうと明治時代の人なんですが、孤児院出身ながら、負けずに自分を表現しようと、最後まであきらめずに強く生きた人ですね。ほかには樋口一葉さん、津田梅子さんなども。自分もそうやって生きられたらいいなあという願望があるんでしょう。