「大衆から生まれたものって、整理できないところに面白さがあるんじゃないかと思っているんです。」(重松さん)

刹那の夢を見に寄席へ足を運んで

重松 大衆文学を調べて思ったのは「面白さって深いな」ということ。こういうしんどい時代だからこそ、「面白かった」という時間がもっと大事になると思うんです。コロナ後に人生を見つめ直す人もいるでしょう。今、新しい道を探している人に、お二人はどんなメッセージを伝えたいですか?

 私がよく言うのが、「迷っている間に死ぬぞ!」ということ。

奈々福 あははは。

 成功するしないは別にして、一歩を踏み出せば、また次の一歩が踏み出せる。

重松 奈々福さんはどうですか?

奈々福 私はいまだになんで自分がここにいるのかわからないんです。でもきっと、「こうなるべき」というのがあって、今があるのでしょう。そのときを、耳を澄まして待つ、ということでしょうか。

 私たちの芸はやっぱりライブ。みなさん、生きていくうえでそれぞれ何かを抱えているとは思いますけど、私たち演者とともに刹那の夢を見に、寄席に足を運んでいただきたいですね。

奈々福 ライブの芸は、お客さまと演者との共同作業。この数ヵ月で、同じ空間を共有できることのありがたさを思い知らされました。だから私、木馬亭でお客さまの姿を見たら、ハグしちゃいそう。

 ソーシャル・ディスタンス!

奈々福 濃厚接触に飢えているの。(笑)