関ヶ原に《生涯不敗》の立花宗茂がいたならば、 歴史は変転したはずだ(写真提供:写真AC)

九州を舞台に活躍した戦国武将、立花宗茂をご存じだろうか? あまり知られていないかもしれないが、あまたいる戦国武将の中でも「最強」と名高く、地元福岡県柳川市では「大河ドラマ化招致応援委員会」が立ち上がるなど、知る人ぞ知る人気武将の一人だ。歴史家で戦国武将に関する著書も数多く執筆している作家の加来耕三氏は「そのあまりに強すぎて、波乱すぎた生涯は、コロナ禍の今こそ人々に勇気を与えてくれる」という

※本稿は加来耕三『立花宗茂――戦国「最強」の武将』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

《生涯不敗》立花宗茂とは

室町時代の中葉、十一年におよんだ内乱「応仁の乱」に始まり、百五十年近くを経て、大坂の陣が終息した”元和偃武(げんなえんぶ)”までの期間、活躍した大名や豪族(国人・土豪)を、われわれは「戦国武将」と呼びならわしてきた。

この戦国時代──中国・周の威烈王(いれつおう)から秦の始皇帝による天下統一までの群雄割拠の時代を「戦国」と称し、これを日本の乱世に当てはめた──の中で、さて、最も合戦に強かった武将は誰であったろうか?

毛利元就、武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、 伊達政宗といった武将の名があがって来るかと思う。では、生涯、不敗の武将と問えばどうだろうか。

――筆者は、「立花宗茂」(たちばなむねしげ)を推す。

去る平成三十一年(二〇一九)三月七日、NHK・BSプレミアム『英雄たちの選択』で、「天下無双の名将・立花宗茂~関个原敗戦・奇跡の復活劇~」と題して、この武将を取りあげた。司会の磯田道史氏(国際日本文化研究センター准教授)、杉浦友紀さん(NHKアナウンサー)以下、出席者の萱野稔人氏(哲学者・津田塾大学教授)、中野信子さん(脳科学者・東日本国際大学特任教授)ら全員がこの武将に、惚れこんでいたのには驚いた(出演者の一人、筆者も含めて)。

また、令和二年(二〇二〇)十月三十一日の同番組スペシャル「今夜決定! ”最強”の戦国武将は誰か?」において、「五十人以上の専門家アンケート調査」でも九州ブロック一位は「立花宗茂」であった。ちなみに、同五位には養父・戸次(立花)道雪(べっきどうせつ)、同十位には実父・高橋紹運(たかはしじょううん)も入選していた。