己の運命に立ち向かったあげくに

新型コロナウイルスの出現する前に存在した世界、その延長線上の《明日》は、未来永劫にめぐりくることはない。まったく異なった未来へ、われわれは歩み出さなければならない。

しかし、消えた未来に未練を残す人、消えた未来に無念を噛みしめる人は少なくない。いつまでも立ち止まっていては、過去に取り残されてしまう。宗茂は「もう駄目だ」と茫然自失することなく、己れの宿命に立ち向かった。

実際、なんと二十年の歳月をかけて、彼は柳河に大名として復帰を果たしている。関ヶ原敗戦のおりが三十四歳。柳河再封が決まったのは五十四のときであった(柳河帰着は翌年、五十五歳)。つまり令和二年は、再入城四百年の節目の年となる。

立花宗茂は、関ヶ原後に改易し、旧領復帰を果たした唯一の武将であり、無論、このような《奇跡》は、ほかに例がない。

なぜ、宗茂は大名に返り咲けたのか?

この”奇跡”の軌道、「難関突破」を、宗茂の人間力(個人の魅力と能力)に求め、解明するのも目的の一つとして『立花宗茂――戦国「最強」の武将』を執筆した。戦国武将・立花宗茂の存在は、現代を生きるすべての日本人に、多くの示唆、夢と希望を与えてくれるに違いない。

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九州を舞台に活躍した戦国武将、立花宗茂。直接参加した戦では生涯無敗で秀吉も「日本無双」と賞賛を送った。
関ヶ原の戦い後に一度は浪人の身になるも、再び徳川家に取り立てられ、ついには旧領復帰を果たす。
その波瀾に満ちた人生から「大河切望NO.1」と名高い宗茂の生涯を歴史家・加来氏が独自の視点で描き出す。
混沌たる今こそ、日本史最強武将の生涯に学べ!