リンカーンとその家族 (C)National Portrait Gallery, Smithsonian Institution; gift of Dr. James S. Brust https://npg.si.edu/object/npg_S_NPG.2003.37

「第1次南北戦争」前夜の状況に似ているのか

南北戦争勃発直前の1861年3月4日、合衆国大統領に就任したエイブラハム・リンカーンは、その就任演説で次のように訴えました。


「憲法上の制限と制約とによって抑制されている多数、これは常に輿論と人々の感情の慎重な動きに従って順次に変化してゆくのでありますが、これこそ自由なる国民の唯一の君主であります。この多数を斥ける者はとりもなおさず無政府とか独裁制におもむく者であります。全員一致は不可能であります。少数派の支配を永久的な措置とすることは、まったく容認しがたいことであります。そこで多数決主義を斥ければ、残るものはなんらかの形における無政府制ないし専制主義だけとなります」
(『リンカーン演説集』岩波文庫より)
 

しかし、このような声が南部の奴隷農園主たちの耳に届くことはありませんでした。

さて、2021年現在、ジョー・バイデン氏のアメリカ合衆国大統領への就任が、1月20日に迫っています。それとともに、「第2次南北戦争」の勃発を不安視する声が高まってもいます。

おそらく、世界中の心あるすべての人々が今、そのような流血の回避を祈っていると思います。そして、はたして今のアメリカは、「第1次南北戦争」前夜の状況に似ているのでしょうか。それとも、現在はまた異なる状況なのでしょうか。