「退院後も時々、仕事で徹夜をしていますよ。私の原稿を待っていてくださる人がいるというのが、元気の源になっているのかもしれません」

仕事の依頼が元気の源に

ありがたいことに、この歳になっても原稿を依頼してくださる方たちがいます。不思議なことに、注文があるといくらでも書くことが湧いて出てくる。今も締め切りとの闘いです。

退院後も時々、仕事で徹夜をしていますよ。私の原稿を待っていてくださる人がいるというのが、元気の源になっているのかもしれません。

読みたい本も山ほどあります。2020年は三島由紀夫さんが亡くなってちょうど50年たったから、いい機会だと思い、三島さんの本を読み返しました。やっぱり三島さんの作品は面白い。読み出したらやめられなくなり、時間がたつのも忘れてしまいます。気がつくと、一日中読み続けていることも。それで慌てて、夜になってから原稿用紙に向かうことになるのですが。(笑)

私は三島さんとは、一時期かなり密接なおつき合いをしていました。知り合ったのはずいぶん昔で、私がまだ作家としてデビューする前。三島さんの作品に感激してファンレターを送ったら、面白がって返事をくださったのがきっかけです。それから文通が始まり、私が作家になってからはお顔を合わせる機会も増えました。

もし今、三島さんが生きていらしたら、世の中についてどんなふうに思ったか。ちょっと聞いてみたかったですね。三島さんが割腹自殺を遂げた事件から、もう50年。そう思えば、100年なんてあっという間だという気がします。