2年の歳月を要した片付け作業
すべてを片づけ終えるまで、2年の歳月を要しました。ゴミ袋だけで5万円、掃除用洗剤などの道具には3万円以上かかったと思います。
県外に住む弟は何一つ手伝わず、私一人で片づけたので人件費はゼロでしたが。父がしきりと、「ようやく人を呼べる家になった」と感謝してくれることが救いです。
親家片を始めて半年後、市の健康診断を受けた際に私は、水回りや土の中にいる菌を吸い込むことで感染する肺の病気であることがわかりました。医師は「この片づけが原因だとは断定できない」と言いましたが、それまでの2年間、なんにも異常はなかったのです。
最近、老前整理や遺品整理の専門業者が注目を浴びているのをテレビで見て、「私も頼めばよかった」と思いました。あの家だと費用は100万円を下らないでしょうけれど、それで健康が買えるなら──。
しかし、母は反面教師になってくれたというべきかもしれません。私は現在、将来自分が老人ホームに持っていけるだけのモノしか残しておらず、家具もアルバムなどの思い出の品も、ほとんど捨てました。自分の子どもには、あんな思いをさせたくありませんから。
※婦人公論では「読者体験手記」を随時募集しています。