保護猫のクティと

 

青木さやかさんの好評連載「47歳、おんな、今日のところは『……』として」ーー。青木さんが、47歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」が話題になりました。第12回は「自分を愛せないわたしは、娘を大切にするのが難しい」です。

冬休みっていつまでだっけ?

「冬休みって、いつまでかわかりますか?」

12月のある日、出演中の舞台、三軒茶屋の世田谷パブリックシアターの楽屋で、娘の同級生のママのみほちゃんに電話した。

「始業式、知らない人いたんだ!」
「あ、みほちゃん知ってた?」
「ちょっと〜」

ママ友は笑って、冬休みがいつからいつまでで、ついでに宿題はこんな感じで、ついでにコロナ対策として学校はこうなっているから、ということまで教えてくれた。

「さすが、みほちゃん」
「はは。褒めてくれてありがとう」
「すごいねえ」
「ほとんどの人、知ってるから!」
「あ、そうでしたか」

わたしのだらしなさは、ママ友たちはわかっていて、時に注意を挟みながらも惜しみなく情報を教えてくれる。

「いま、パブリックシアターだよね?」
「すごい、わたしの仕事まで。いよいよすごいわ」
「聞いたよ!『ママ、舞台やる』って。この前バス停で会ったとき」

娘は、わたしの仕事を友だちのママに自慢するみたいだ。わたしには言わないけれど。

「バス停で会ったとき思ったけど背、伸びたよね〜」
「うん」
「もうさ、女子だね。男の子は子どもっぽいよ」
「可愛いじゃない」
「ママを守る隊だって言ってるし」
「わぁ、最高。彼女できたら大変だ」
「厳しく見るよ、私は! 彼女を!」
「わぁ、もしうちの子が彼女になったら、わたし、みほちゃんに口聞いてもらえないわ!」

そうかもよ〜なんて笑って電話を切った。