一和「阿ぶり餅」

役病除けのいわれがある
今宮神社の門前菓子。
炭火で炙った香ばしい餅に
白味噌を纏わせて

京都市北部に位置する紫野の今宮神社は、平安遷都以前から疫神を祀る社があったという古社。平安時代に入っても、疫病や厄災に悩まされた人々は、悪疫退散を願い、御霊社、祇園社などの各社で御霊会を営みました。

今宮神社でも紫野御霊会が行われ、現在四月第二日曜に催行される「やすらい祭」はその流れを汲んでいます。桜や椿でかざられた花傘や、赤毛や黒毛の鬼たちの行列が踊り歩く奇祭で、花傘の下に入ると一年間息災に過ごせるというありがたい祭。

その今宮神社の参道にある一和は、平安時代中期から続く茶屋。一文字屋和輔が正式名ですが「一和(いちわ)​さん」の名で親しまれています。

名物の阿(あ)ぶり餅(もち)は、きな粉をまぶした餅を炭火で炙り、白味噌の甘いタレを纏わせた滋味ある菓子。店の前には香ばしい餅の香りが漂います。疫病除けの縁起菓子として、家族や友人へのお土産にも喜ばれるひと品です。