閉店の危機がチャンスになった
転機が訪れたのは2年前。店の前を自転車で走っている時に車に追突され、鎖骨を折る大怪我をしたのだ。
家計の足しにと喫茶店でしていたパートも、怪我のせいでやめざるをえなくなってしまった。その後、新型コロナウイルスの影響でミューズの森の経営も悪化する。
「半年間、まったく収入がなくなって。ショップを閉めるかどうか、真剣に悩みました。もうじき70だし、世間から見たらもう落ち着く年なのかな……と。それまで私は、やりたいことに年齢なんて関係ないと思っていたけれど、ここにきて弱気になってしまったんです」
だが、ひとしきり落ち込んだ後、「やれるだけのことは全部やって、それでダメなら諦めよう!」と腹をくくり、ショップの経営を立て直すため、「茨城県よろず支援拠点」の窓口を頼ることにした。
よろず支援拠点は国が全国に設置している機関で、小規模事業者やNPO法人、中小企業のための経営相談が無料で何度でも受けられる。また、専門知識を持つコーディネーターがチームになって相談者を支え、アドバイスや書類の手続き、パソコン作業のサポートまで行う。長谷部さんは相談するうちに、「本当はミシンカフェをやりたいんです」と思わず打ち明けていた。