小雪さんが描いた自宅の全貌(服部文祥・著『サバイバル家族』より)
小雪さんの夫・服部文祥さんのエッセイ『サバイバル家族』(中央公論新社)には夫婦の馴れ初めも

つらいこと、慣れないことはいっぱいありました。でも日々起きること、感じたことを愚痴がわりに日記に書くと、なんだか自分の状況がおかしくて笑えてくる。そのうちに「生活って面白いな。私はこういう起伏がある暮らしが好きなんだ」と気づきました。

大家さんが亡くなったため再び家探しをはじめ、購入したのがいまの戸建てです。かなり急な傾斜地にコンクリートの柱を4本立てて、その上に乗っかっている高ゲタみたいな家。こちらも築50年を超えており、一目見て私は「土砂崩れが起きたらどうするの。これはありえない」と言いました。

すると夫は、「そういうふうに、まず否定から入るのはよくない」と私を諭すんです。彼には「ここなら楽しい暮らしができる」という自信があったのでしょう。私も「ありえない」などと言いながら、そのうちちょっぴり興味が湧いてくるのが、自分のいいところというか、悪い癖というか(笑)。結局、土地柄を考えると格安な、ゲタの家を買うことになりました。

家屋の古さを考えて耐震工事を施し、キッチンと浴室をリフォームしたあとは、自分たちで少しずつ改修をはじめました。床張りをし、壁に漆喰を塗る。実際にやってみると、こんな楽しい作業を、お金を払って誰かにまかせるなんてもったいないような気もしました。