「すき焼き御膳」6000円。牛肉は1人前200gとボリュームもたっぷり。ザクの野菜も筍は土佐煮、牛蒡はささがきにして実山椒で炊くなど手がかかっている。それも、京都の名旅館「炭屋旅館」をはじめ関西の料亭、割烹で12年あまり修業を積んだからこその一手間だろう

宮崎県の尾崎牛を使った自信作

綺羅星のごとく名店が軒を連ねる美食都市・東京。中でも銀座はその一等地。世界の食通はもちろん、料理人にとっても夢の舞台である。そんな憧れの地に、去年10月、静岡から移転を果たしたのが日本料理店「志翠(こうすい)」の前田公志さんだ。「GINZA SIX」の裏手、ビルの8階に潜むこぢんまりとした店内には、カウンターにひとり掛けのゆったりとしたソファを配置、寛ぎのひとときを約束してくれる。

落ち着いた趣の中、ランチでおすすめしたいのが「すき焼き御膳」。幻の牛とも言われる宮崎の尾崎牛を使った自信作だ。今年の1月、宮崎の牧場まで足を運んだという前田さん。曰く、「尾崎牛は、脂の融点が28℃と低く(通常は40~50℃)、サシが細やかでしつこくないんです」。

手前から時計回りに、尾崎牛のスネ肉で作る時雨煮や煮奴、鮭と蕨の砧巻などを盛り合わせた口取りにデザートの「はるか」のシャーベット、先付けの桜海老の摺流しなど。コースで楽しめる

「すき焼き御膳」では、そのうちモモ肉を使用。目の前に鉄鍋で運ばれてくるアツアツのすき焼きは、醬油と砂糖の芳ばしい香りもご馳走だ。溶き卵をたっぷりつけて口に運べば、しっとりとしたやわらかさの中、酒と醬油のきいたキリリとした甘辛味がご飯を誘う。そのご飯も土鍋で炊きたて。主人の地元・静岡菊川のコシヒカリを使っている。他に、静岡の焼津港で水揚げされるミナミマグロを使った「鉄火御膳」も人気だ。