試験飛行となった「金星号」を前に勢ぞろいするスチュワーデスたち。尾翼にフィリピン国旗が見える(『日本航空一期生』より)

一期生のうち最年少は19歳

最終的に15人の合格者が8月15日には選出されたことが報道される。「選ばれた空の花十五輪」などと新聞ははやしたてた。

一期生のうち最年少は19歳の川本多美江だった。学生時代水泳の選手だった川本は健康美にあふれた美少女だった。東京・青山の商家に生まれ、早口の東京弁で色浅黒く、卵形の顔と均整のとれた体格で微笑むとえくぼがかわいらしかった。

スチュワーデスは29歳が最年長で、あとはほぼ22歳前後だった。企画室部長の伊藤良平の回想によると、採用にあたって社内では、「良家の子女を採用して日航のスチュワーデスとしてつくりあげる」という意見が圧倒的だったという。そのなかで独特な意見をいろいろいったのが森村勇で、「容姿端麗な八頭身美人を採用方針に」と提案したのも彼だった。

現在のようにテレビタレントやファッションモデルといった被写体が豊富な時代とちがって、ようやく戦後の食糧難の時期から抜け出しかけた時代には、この女性の新しい職業であるスチュワーデスは、マスコミの絶好の標的となっていく。