「そういう下品なこと言うの、やめなさい」

鈴木 そういう意味で、実は僕、ずいぶん前に清水さんにたしなめられたことがあるんですよ。

清水 そんなことあったかな。

鈴木 以前、ラジオでご一緒させていただいたときに雑談をしていて、ある若手芸人の話になったんです。けっこう盛り上がったから、「こいつはたぶん残らないですよ、芸能界」ってつい言っちゃった。その瞬間、清水さんにぴしっと止められたんですよ。「そういう下品なこと言うの、やめなさい」って。

清水 えー、本当に私が言った?違う人と間違えてない?

黒沢 それはたぶん言ってます(笑)。そういうときの清水さんって、ちょっと笑いながら言ってるんですよね。

鈴木 雑誌をこんなふうに読んで。

清水 ああ、その感じは私です。じゃあ間違いない。(笑)

鈴木 笑いながら「はい、言いすぎ」みたいな感じだったんですけど、その瞬間、僕の汚い部分が浄化されたというか。観察して気づいた悪口はいくら言ってもいい。でもこの世界に「残る」「残らない」は、僕らにとって一番リアルで切実なところじゃないですか。そこまで言ってしまってはいけないんだよって諭された気がしたんです。

清水 すごい。まったく覚えてないけど、自分のことが好きになった。

鈴木 それ以降、「消える」みたいな表現はしなくなりましたね。

清水 そんなふうに受け取ってくれて、よかった。

黒沢 結局、誰のことだったんですか?

鈴木 それが、まったく思い出せないんだよね。

黒沢 悪口言いすぎて、もう誰のことかわからないんじゃ……。

鈴木 悪口って、言ってると相手の悪いところがどんどん僕に集まってくるんですよ。ほかの人も悪い噂を教えてくれたりするから。

黒沢 それでも私たち、人を見るのはやめられそうにないですね。

鈴木 そうなんだよ。人を見て態度を変えるヤツは嫌いだけど、それを見極めるために、結局人をよく見なきゃいけない。(笑)

清水 観察力がありすぎるのも、考えものだね。


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