ピアノとお見合いおばさんと

同時進行的に、わたしは芸能界以外の仕事にもチャレンジしてみた。想像してみて、さほど緊張しないであろうシチュエーションを考えて、そして、わたしのスキルでできる可能性があるものを2つ実験的にやってみた。

一つは、子どもにピアノ演奏とソルフェージュ(楽譜を読むことを中心とした基礎訓練)を教えること。

近所の友人とお子さんに頼み、もちろん無料でやらせていただくので、ピアノとソルフェージュを教えさせていただけないか、とお願いすると、「ちょうどやらせたかったの、助かる〜!」と喜んでくれた。

わたしは、小学校に入る前の女の子に教えるために、予習をした。「手のひらを太陽に」を教材にした。

当日、お母さんとお子さんに会い、45分のレッスンをスタートさせた。始まって10分くらいで、女の子の集中力が切れてきた。なにも聞いてくれない。わたしの集中力も切れてきた。
「よーし! 今日はおしまい!」
「えー」
時間をつぶそうと本を読んで待っていたお母さんがビックリしていたけれど、わたしも急にやめたわたしに驚いた。

もう一つの仕事は、お見合いおばさんだ。お節介なわたしにちょうどいいと思ったのだ。

家に人を集めた。男性8名女性8名はいた。部屋はぎゅーぎゅーで、ベランダにも出てもらった。男性はザブングル加藤くんに集めていただいた。司会は、わたし。友人が作ってくれた料理も出して、席替えなんかもして、自己紹介なんかもして、第一印象なんかも聞いたりして、それをとりまとめたりして、あっという間に疲れた。

ザブングル加藤さんと。「カッチカチやぞ!!」と、「どこみてんのよ!」のコラボ。(写真提供:青木さん)

ブングル加藤くんは、わたしの人をさばくことのできない様子や、あたふたぶりをみて、「青木さん、なにしてるんすか!」と、わたしの役を買って出てくれた。最後は、「加藤くん、やって」と丸投げした。「なんなんですか!」と呆れられながら、1日で、お見合いおばさんを卒業した。