青木さやかさんの連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」が話題になりました。今回は「数々のダイエット」を経験した過去を明かします。
165センチ、72キロにまで体重が増えて
思えば30年近く、ダイエットはわたしの生活の一部になっている。
大学生の時、72キロまで体重が増えた。ちなみに、わたしの身長は165センチだ。
毎日フランスパンを一本丸かじりしながら大学に通っていた。家では漫画や歴史ものや推理ものの小説を読みながら、寝転びながら、ポテトチップスとチョコレートを交互に食べるのが至福の時だった。あの時間はなにものにもかえがたかった。大好きな太る時間であった。
なぜ太るのだろうか。
わたしの場合は、軽めのストレスがかかっているときはついお菓子を食べすぎてしまい、気づくと太っていることが多い(薬の副作用という時もあったがそれはまた別の話として)。
ジーンズがはけなくなり、ウエストゴムのパンツになり、最後はズボン全部ゴム! みたいなゆるゆるな装いになり、かつてのジーンズが太ももまでしか上がらない! という状況にあっという間になるから不思議だ。
「さやか、太った?」
大学の構内でゆるゆるの服で歩いていると、久しぶりに顔を合わせた同級生の男の子に声をかけられた。
「太ったかな、そうかもしれない」
「太ったよ、遠くからみてたらわからんかったわ」
「あ、そう」
「体重、増えとらん?」
「増えたと思う」
「何キロ?」
「言えない言えない」
「さやか、もしかしたら50キロあるんじゃない?」
「えー、50キロ? そんなにあるようにみえる?」
「50キロあったら、やばいわ」
「50キロ。やばいね」
50キロがやばい? わたし72キロあるんですけど。
男子って女子の体重ぜんぜんわかってないんですね。