39歳、夢は《女優》です

夢は《女優》。女優をしているのに「夢は女優」というのはおかしいけれど、まだ女優としてちゃんと伝えきれていない部分があるので、「夢は女優」です。

中学生や高校生の頃に、就きたい職業は? と聞かれたら、いろいろ言ったかもしれません。でも、河瀬直美監督が、『萌の朱雀』で15歳の私を見出してくれて女優になってからは、ずっと女優。天職だったのかもしれませんね。

台本には必ずヒントが書いてあると思っています。ト書きには、「叩く、わめく、泣く、不敵な笑みを浮かべる」って全部書いてあり、その通りやれば70~80点はもらえる。そこから100点に近づけるかどうか。母親役も多くなってきました。私は母親の経験はないので、想像して架空の世界を作り上げるのだけど、嘘の世界を作るんじゃなく、好きになったり嫌いになったりしながらその役を作っています。

きちんと伝えることが、女優として私のやるべきこと。見てくれる人が、その役に感情移入できるか。共感してくれるのか。勇気をもらうのか。またはつらくなる人もいるかもしれません。そこはもう作品が独り歩きしているわけですが、私は気持ちに嘘をつかないで、精いっぱいやるしかないと思っています。

デビュー10周年には、河瀬監督と『殯の森』で仕事をしました。20周年のときは結婚していて仕事をセーブしていたけれど、また一緒にやりたいと思います。彼女の前に立つと、がーっと15歳に戻されちゃう。「修行」みたいな厳しい撮影ですが、それもまた楽しい。

コロナがあって、現在のこと、今後のことを考え、この作品で私、闘いました。今までにない闘い方をしたので、私の闘いっぷりを見てほしいなと思っています。