孤独を感じた時期も……

――新作歌舞伎『NARUTO』をはじめ、新たな挑戦に参加する機会が多い隼人さん。10代の頃から、大河ドラマに連ドラにと、映像作品にも積極的に出演してきた。最近では、バラエティ番組『ヒルナンデス!』にシーズンレギュラーとして出演。父は二代目中村錦之助、祖父は四代目中村時蔵、大叔父は俳優・萬屋錦之介という梨園のプリンスでありながら、自らをどんどん未知なる世界へ連れ出している。


伝統を守っている歌舞伎の世界にいながら新しいことをするのは時に大変で、孤独を感じた時期もありました。ただ、それは僕だけの悩みではなく、僕より先に新しいことにチャレンジしてこられた方々がいらっしゃる。

たとえば僕がよくお世話になっている猿之助さんや、(十代目松本)幸四郎さんは、同じように闘ってこられたと思うんです。このお二人とは年齢的にも近すぎず遠すぎずのいい距離感なので、いろいろと相談させていただくことも多くて、いつもアドバイスをいただいていますね。

猿之助さんからは、やはり先ほどの座頭の役割など、舞台人としての精神性みたいなところを教わり、幸四郎さんには、20代前半の頃に立ち回りを教えていただいたことをはじめ、芝居についての具体的なところを厳しくもわかりやすく教わって。僕は本当にお二人に育てていただいたと思っておりまして、あのお二人がいなかったら今の僕はないと断言できます。

とはいえ、やっぱり役者というのは孤独なもので、役に向き合う時間はひとりなんです。「孤独じゃないといい役者になれないよ」と、これも猿之助さんがおっしゃっていましたが、自分を高めるのは自分しかいない。そういう意味では、歌舞伎以外の仕事もしてきて、そこで吸収したものはたくさんあるという自負もあるんです。