夫と相談して、自宅にはじめて私の部屋をつくった

だから結婚後は、夫(杉良太郎さん)にとって家が居心地のいい空間になるように努力したり、自分が食べたいものより夫が食べたいものを優先している。そういういまの夫婦関係は、無意識に両親から植えつけられたものだったのではないか、それに縛られていないか、と言うんです。

「それっていいことじゃないですか」。つい、私は反論しました。でも「これは、あなたが無意識に負担に感じていること、ほかにしたいと思っていることをただ見つけていく作業ですよ」と言われたとき、ハッとしたんです。

本当の私は誰にもわからない。でもよく考えてみたら、私はひとりの時間がすごく好きだったなあ、と思って。それまで、夫とは仕事以外の時間を常に一緒に過ごしてきたので、ひとまず「自分の部屋がほしいかも」と相談して、自宅にはじめて私の部屋をつくらせてもらいました。

そういう気づきを繰り返して、私の発声障害は、ストレスも少しは影響していたのかもしれない、ということを受け入れられるようになっていったんです。

 

これ以上、病状を隠せない

コロナ禍も落ち着き、収録も増えてきたころ、ボツリヌストキシン注射をして、筋肉の過度な動きを抑える治療法を勧められました。ダウンタイム(施術から回復までの期間)は約2週間とのことだったので、すでに入っている仕事のスケジュールなども考慮し、思い切って2021年1月初旬にこの注射を打つことに。

ところが、想像以上にダウンタイムが長くかかってしまって。2月中旬、歌番組のリハーサルで歌ってみたら声は出ないし、音程がまったくとれませんでした。「これが私の歌声だなんて」とショックでボロボロ涙は出てくるし、当然、仕事はキャンセルせざるをえません。半ばドタキャンのようになり、各方面にたいへんなご迷惑をかけてしまったのです。

本来であればもうダウンタイムは終わり、絶好調の歌声になっているはずなのに、いまも私の歌声は元に戻りません。会話に支障があっただけの不調が、歌声にまで及んでしまった。これ以上、病状を隠し続けることはできませんでした。