「寝たきりになられた時、この先、ずっとこのままだったらどうしようと思われました?」(上野さん)/「これでもうダメだなんて1回も思いませんでした。」(澤地さん)

高校卒業したばかりの18歳のヘルパーと

上野 介護保険を使ってみて、いかがでしたか?

澤地 いい制度だと思いました。支払いの段階になったとき、こんな額ですむのか、と。

上野 1割負担だと、大きな額にはなりません。ヘルパーやナースが来てくれるようになって、不自由はありませんでしたか。

澤地 ないです。ただ最初の頃、ベッドで必死の思いでハガキを書いて、ヘルパーさんに「悪いけどポストに入れてくださいません?」と聞いたら、「ヘルパーの仕事にそういうことは含まれていません」とピシッと言われました。一発食らったな、という感じでしたね。

上野 規則通りの対応をなさった、と。それは介護保険の「不適切利用」とされている行為にあたるからです。厚生労働省がこれをやっちゃいけない、あれはダメと、細かくいっぱい決めているのです。

澤地 いろいろなヘルパーさんが来ますが、そのうち帰りにポストに寄ってくれるようになりました。

上野 人間関係ができたら徐々に対応が柔軟になったんですね。

澤地 ヘルパーの中に、高校卒業したばかりの18歳の人がいたんです。私も高校に行きながら働いたこともあったけれど、今の時代の若い子に介護ヘルパーという仕事は過酷じゃないか、と思ったわけです。でも、今ではその子と仲良しになって、身の上話も聞いて「あぁ、この子はいい決心をしたんだな」と思うようになりました。