奥野壮さん(撮影:小林ばく)
18の時、『仮面ライダージオウ』の主役でデビュー。「仕事への向き合い方を学んだ作品」と語る理由は──(撮影:小林ばく)

挫折を味わったからこそ

仮面ライダーを演じた1年間は楽しくもあり、苦しくもあり......。撮影に入った直後は自信に溢れていましたが、放送を観たら残酷なほど理想とかけ離れていて、心がバキッと折れました。(笑)

でも、早い段階で挫折を味わってよかったと思っています。おかげで自分の演技を客観的に見られるようになりました。それに、練習の積み重ねが大切なこと、できることが徐々に増えていく喜び、体で感情を伝える楽しさが、11年間習っていたバレエとよく似ていることに気づいたんです。

生瀬勝久さんとの共演も刺激になりました。とくに、「現場で生まれるものを大切にしなさい」というアドバイスが心に残っていて。だから今は、より多くの役に出会って、たくさん芝居がしたい。挑戦したいのは「普通の人」。明確な定義がないものほど、演じるのは難しいはずですから。

特撮ドラマ『超速パラヒーローガンディーン』では、車いす陸上に打ち込む主人公を演じました。パラスポーツと特撮が合体した作品は異色ですが、骨太な人間ドラマが軸になっているので幅広い世代が楽しめるはず。陸上競技用の車いすで本物のアスリートの方たちと一緒に走る姿にも、注目してほしいです。