いじめた側は順調な人生を送っている

林　そういえば知り合いの娘さんで、いじめられて登校拒否になった子がいて。ある時、ちらっと会ったら、見るからに心を病んでいる感じで、胸が痛みました。一方で、いじめた側の子は、一流大学に進んだらしくて、理不尽を感じます。

斉藤　いじめた側は順調に人生を送っているわけですね。

林　いじめが原因で、自殺してしまう子もいますよね。そういう子たちは、「自分がもし自殺したら、あいつらは一生悔いて、普通に暮らしていけないだろう」と、一瞬思うのかもしれない。でも絶対にそんなことはない。いじめた側は、すぐに忘れちゃいますよ。

斉藤　そうだと思います。

林　私は、中学の時に私をいじめていた男子から、「謝りたいから同窓会に来てほしい」と連絡があったけれど、「行くもんか」と思いました。

斉藤　されたほうは心に傷があって、思い出すとうずきますからね。だから僕も、絶対に会いたくない。

林　でも一方で、作家としては、なぜあんないじめをしたのか、どういう心持ちなのか、ちょっと取材したい気もします。

斉藤　すごいなぁ。

林　私は女子からもいじめられましたが、作家になってからデパートのサロンでトークショーをしたら、おしゃれしてその人が来たんです。で、「私のこと、覚えてますか？」と言っていた。どういう気持ちで見に来たのか、想像するとちょっと怖いです。

斉藤　成功したことへの嫉妬とか、あるんでしょうかねぇ。

林　いじめられると、後遺症もあると思う。私の場合、つい卑屈になってしまい、強く言われると何も言い返せなくなる。弱い面を、見抜かれるんですよ。だから結婚相手や友人も、強く出るタイプの人を引き寄せてしまった気がします。

＜後編につづく＞