死別の悲しみから立ち直るには

ではどうすればいいのかといえば、「あなたの分まで精一杯に生きていきますので、心配しないで安らかに眠ってください」と、故人の冥福を祈ることです。

死別の悲しみから立ち直るために「祈る」(写真提供:写真AC)

東日本大震災が発生したとき、私はボランティアスタッフの一員として被災地へ出向きました。瓦礫の撤去や家財道具の運び出しなどを行っていたところ、被災者の方から「普段、お坊さんをしておられるなら、お経をあげていただけませんか?」という依頼を受け、お経を唱えたことがありました。

その折に、津波でご家族を亡くされたという女性が話されていた言葉が忘れられません。その方は「私は悲しみに暮れることしかできないと思っていましたが、祈ることができるのだと気づきました。祈りを捧げることで少しだけ気持ちが落ち着いたような気がします」とおっしゃったのです。

祈りを通して私達は故人の魂と対話し、故人の成仏を願うだけでなく、自らの心を癒すことができるのです。