悲しさと不安が重なって「孤独」は生まれる

さだまさしさんの『関白宣言』という歌に「俺より先に死んではいけない」という歌詞が出てきます。自分より一日でも長く生きて俺を看取れ、最期に手を握って「愛していたのはお前だけだった」と言うからと。

さだまさしさんはほんとうに素敵な詞を書かれるなと思うわけですが、言ってみればこれは男のロマン。そうできたら理想的だと思っていても実行せずに過ごしてしまいがちです。

その結果、奥様を亡くされた後の男性の中には、廃人のようになってしまわれる方も少なくありません。これまで身の回りのことは奥様任せで、ご自分は靴下がどこに入っているのかもわからない。つまり奥様に依存して生きてきたということがいえるのです。

妻との別れが悲しいという気持ちに、追い打ちをかけるようにして「これからどうしよう」という不安が襲い掛かる。この心情を人は「孤独」と表現します。