イラスト:小林マキ
睡眠不足が続くと、疲れが十分とれず、体調も崩しがちに。雨晴クリニック副院長の坪田聡さんに睡眠の質を上げる方法を聞きました。(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)

コロナ下の外出不足で、睡眠の質が低下

「人間の体温は、一日のうちで夕方から夜にかけてが最も高く、眠っている間に徐々に下がっていき、朝、目覚める前に一番低くなります。眠ってからスムーズに体温が下がることで、深い睡眠に入るのですが、気温が高い夏は体温が下がりにくくなるため、どうしても睡眠は浅くなりがちです」と話すのは、睡眠専門医である雨晴クリニック副院長の坪田聡先生。

さらに、長引くおうち時間で、外出の機会が減っていることも睡眠に悪影響を及ぼしていると言います。

「ぐっすり眠るためには、日中、外に出て太陽の光を浴びることが大切なのですが、コロナ下の自粛ムードで屋内にこもりがち。陽に当たる時間の不足も睡眠の質を悪化させています」(坪田先生。以下同)

眠りが浅くなり、睡眠不足が続くと、疲れがたまって夏バテを招いてしまうことに。そうならないための「夏の快眠ポイントは4つある」と坪田先生はアドバイスします。

1つ目は、寝室の環境を整えること。

「エアコンで室温と湿度をコントロールし、眠りやすい状態を作りましょう。室温は26~28℃、湿度は50~60%が適正。入眠してから3時間は眠りが深くなる時間帯です。オフタイマーにするなら、それ以降の時間に設定するのがベスト。また、暑苦しいと朝の目覚めも悪くなるため、起床する約1時間前にエアコンがつくように設定しておくのがおすすめです。ただし、熱帯夜の日は、夜中も気温が下がりにくいため、ひと晩中つけておくようにしましょう」

2つ目は、昼間にしっかり太陽の光に当たること。

「太陽の光は、意識をはっきりさせる覚醒系の神経伝達物質であるセロトニンを増やします。セロトニンが増えると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの量も増えるため、良質な睡眠を促すことができるのです」

3つ目は、規則正しい食事です。

「毎日、同じ時間に食事を摂ることで体内時計が整います。とくに朝食は体内時計のスイッチとなるため、必ず摂るようにしましょう」