ささやかな個人開業医が好きなワケ
そのまま、何日か、うつらうつら眠ってばかりいた。頭の打ちどころが悪かったのかもしれないが、とにかく眠い。
あいにくそれは金曜日の夜のことで、翌日からは土・日とお医者さんは休みである。救急車? そんなこと、頭に浮かびもしなかった。「病院」というところへ行くのは、死ぬ時だけ、と決めている私である。
なぜそんな決心をしたかについては、新刊に記述した駄文を讀んで下さった方にはおわかりになることと思う。讀んでない方は、「どうせまた、佐藤のことだからつまらないことでヘソを曲げたのだろう」と思って下さればいいです。
病院という大きな組織の中では、我々患者は「人間」ではなく「患者」という「物」としてあつかわれる。病院へ行くということは、「物」になり切る覚悟というものが必要なのだ。
「物」あつかいされてまで病気を癒したいと思わない私は、町のささやかな個人開業医院が好きである。そこでは医師も人間、思者も人間、看護師も人間である。何ともいえない安心感のようなものがある。