義経のリアルな容貌など、実証的にはわからない
江戸時代の歴史書は、義経を出っ歯であったと書いた。同時代の文芸がくりかえした美少年説には、背をむけている。だが、その出っ歯説にも、文芸創作の都合でひねりだされた可能性はある。
『本朝通鑑』や『大日本史』は、いかめしい歴史書であった。義経は出っ歯であったと、ひややかにつげている。だが、そこにだって、別種の文芸はもぐりこんでいたのかもしれない。そもそも、義経のリアルな容貌など、実証的にはわかるわけがないのだから。
出っ歯説については、あとひとつ、まだ語れていないことがある。次回も、あいかわらずこれにこだわるが、おつきあいをねがいたい。