人は「適応」の能力を超えると体調に不調をきたす
なぜ、このお二人に問題が起きたのでしょうか。
スマホで考えてみましょう。スマホの電池が切れそうになると、なくても困らないアプリへの電力の配分を減らして、電源が切れないようにします。例えば、バッテリー切れになりそうなスマホではカメラが使えない、音楽アプリが開けなくなるという経験をしたことはありませんか?
こういったことが、おふたりの中でも徐々に(数か月前から)起こっていたのです。
例えば、食事をしてもあまり美味しいと思わなくなっていたり、これまで気にならなかったよい香りをきつく感じたり、音楽もうるさく感じたりするようになっていたり……。Dさんは、肩が凝っている感覚もなくなってきていたと言います。
人は無理を続けるうちに、このようにどんどん機能を遮断して、最低限の働きだけを守ろうとするスマホのような状態になってしまうのです。
これは、人間の「適応」という仕組みです。優先順位で上位にあるものだけを尊重し、不要なものを遮断して、必要な機能にのみエネルギーを振り分けて動けるようにしているのです。この適応の能力を超えたとき、体に不調をきたしてしまうことがあるのです。
先ほどお話しした、画面がフリーズして動かなくなったパソコンを思い出してみてください。いくつかの動作を一気に行おうとすると、パソコンがしばらく動かなくなることがありませんか?
人間にも、このようなことが起こります。「いっぱいいっぱい」になっているときには新しい情報はなかなか入ってきません。パソコンがフリーズしているときに、新しいデータをダウンロードしたりできないですよね。それと同じなのです。
だからこそ著者は「心の仕組み」について、みなさんにも知っておいてほしいと願っています。
「キャパオーバー(いっぱいいっぱい)になりそうかな?」と思ったときに、まずはこの仕組みを理解しておくことは、とても役に立ちます。これは自分の心と身体の健康を守るために必要な知識なのです。
※本稿は、『キマジメさんの「いっぱいいっぱい」でしんどい! がラクになる セルフ・マインド・マネジメント』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。
『キマジメさんの「いっぱいいっぱい」でしんどい! がラクになる-セルフ・マインド・マネジメント』(著:濱田恭子/ビジネス社)
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