日本でも、10~20代の若い世代を中心に情報発信・共有の場となっている。古いデータにはなるが、2019年時点で国内に950万人のユーザーがいるとされていたので、現在はさらに増加していると予想される。ダンスや料理、ペット動画が人気を集めているという印象の強いTikTok。そこでなぜ小説紹介なのだろうかーー?

けんごさんのTikTokアカウント

YouTubeよりTikTokである理由

「実は僕、大学4年で就職に失敗しまして。そのあと、小さな会社のインターン生としてSNSの運営に携わらせてもらう機会があったんですね。自分でもSNSを始めようと思った時、どうせやるならば好きな小説のことを広めたいなと、去年の11月にTikTokを始めたんです」(けんごさん)

けんごさんのTikTokアカウント「けんご@小説紹介」のフォロワーは26万人(2021年10月現在)。昨年頃から海外ではTikTokで本を紹介するインフルエンサーのことを「BookToker」と呼び、一種のカルチャーを形成しつつあるが、日本ではまだまだ少ない。小説の分野で顔出しで本を紹介しているのは、ほぼけんごさんだけだという。

けんごさんは会社勤めの傍ら、月に20~25本の動画を上げている。書籍紹介ならばYouTubeという選択肢もあったと思うが、TikTokに決めた理由を聞くと――。

「YouTubeは、サムネイルとタイトルを見て自分でタップして再生することが多い。それだと、興味のない人は本の動画を見ません。でもTikTokは、オススメ機能でランダムに流れてくるので、僕の工夫次第でいろんな人に情報を届けられるかな、と。現状、小説に限らず、商品を薦めるにはTikTokが一番適したSNSだと感じています」