けんごさんのTikiTokは毎回工夫が凝らされている。『残像に口紅を』の時は、前髪を下ろして登場

各店の棚にあった在庫が一斉に消失

一方、突然の売れ行きに大慌てした出版社もある。

もしこの世から〈あ〉という言葉が消えてしまったらーーどんなことが起きると思いますか?

と紹介したのは『残像に口紅を』(中公文庫)。

『残像に口紅を』筒井康隆・著、中公文庫

筒井康隆さんの30年前の作品だ。ロングセラー商品であったため、そこまで大きな展開はしていなかった。けんごさんがTikTokに投稿するやいなや、各店の棚にあった在庫が一斉に消失。各書店からも大量に発注が来て、「いったい何が起きたのか?」と営業はうれしい悲鳴をあげたという。その後、8万5000部の大重版につながっている。

さらに印象的だった投稿への反響を聞いたところ、楪一志(ゆずりは・いっし)さんのデビュー作『レゾンデートルの祈り』(KADOKAWA)を挙げたけんごさん。2021年6月に刊行された本作は安楽死が合法化された日本を舞台にした物語だ。

『レゾンデートルの祈り』楪一志・著、KADOKAWA

「人気作家が新刊を出すのと、デビュー作家が新刊を出すのはスタートが全く違います。自分でもうまく紹介できたかな、という動画を投稿したところ、5刷したと聞いて。すこしでも力になれたと思うとうれしいです」