死ぬことばかり考えて

あの頃は、体調も悪いし、サックスは吹けないし、事務所には「もう売り時を過ぎた」とはっきり言われるし、「これはもう、まだ自分で自分をコントロールできる意識があるうちに、人生をリセットしたほうがいいんじゃないか……」という感覚から逃れられなくなりました。

それは、新しい別の仕事を探すという段階を超えてしまって、死ぬことばかりを考えるようになっていて……。

致命的な選択まで頭をよぎるように(撮影:前康輔)

死ぬことが取り返しのつかない致命的な選択だという意識も曖昧なままで、感覚的には、「今度の休みにハワイにでも行って人生をリフレッシュしたいな」というのとあまり変わらない感じでした。今思うと本当に危ない精神状態でしたね。

札幌の実家にいても、「死」とか「死後の世界とは?」といった話しかしないから、両親が心配して、ご先祖様のお墓参りに連れていってくれました。

せっかくだからと、普段あまり会わない親戚たちと会う機会も作ってくれて。すっかり生気を失った僕をなんとか励まそうとしてくれたのでしょうね。

「東京でスターになった真治が帰ってくるぞ」ということでしょうか。親戚は大勢集まってくれました。姪っ子や甥っ子にしてみたら、僕は芸能人になった自慢のお兄ちゃんのはず。

でも、みんな明るく会話しているのに、僕は暗く黙り込んでいる(こないだ観た最後の劇場版の『エヴァンゲリオン』で主人公シンジくんが同じような態度だったなぁ。腹立ったなぁ)。