「お見合い結婚をし、子どもも生まれました。でも、〈このまま終わるのでは〉という気持ちがふつふつと湧いて――」

井上ひさしさんの言葉に心動かされ

大学卒業後は、母校教授の私的な助手を務めていましたが、お見合い結婚をし、子どもも生まれました。でも、「このまま終わるのでは」という気持ちがふつふつと湧いて――そんな時、ラジオがインタビュアーを募集していると知って応募。でもその仕事は数ヵ月で終わるので、もっと続けるには放送作家になりたい、と思うようになりました。

するとディレクターが、「養成学校に行っても、プロになれるのは1人か2人。もしあなたが、何かの番組を想定して台本を書いて、それをこっちが採用すれば、その日から作家だよ」。

当時、芳村真理さんの『おしゃれサロン』という番組があり、それを2回分くらい書いて持っていったら、その場で採用。そこから放送作家の仕事を始めました。

そのうちテレビ番組の構成も手掛けるようになりましたが、ある時、井上ひさしさんから「活字に行ったほうがいいですよ」と勧められて。井上さんも放送作家をなさっていたけれど、放送が終われば原稿は捨てられてしまう。「そこへいくと、活字は後に残る」と。

なるほどと思って活字の世界への移行を考え始めたら、出版社から、「女性の記者たちがストライキ中で人員が足りない、やってみませんか」と。かくして40代にして、記者デビュー。そこからまた今に続く道が開けてきました。