岸田今日子、池内淳子、平幹二朗と心が通じて。80歳のエッセイストが明かす著名人との「幸せな時間」

「私はフリーの立場なので、基本的に会いたい人にしか会いに行きません。お会いできると嬉しいから、もう、全身で気持ちを表します」（撮影：岡本隆史）

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相手の濃やかな思いやりを受け止めて

取材をきっかけに個人的に親しくなる人も、少なくありません。岸田今日子さんとは、よく一緒にお芝居を観に行きましたし、台湾ロケについて行ったことも。池内淳子さんとも、こんぴら歌舞伎をご一緒したことがあります。

なぜ個人的に親しくなる方が多いのか。改めて考えてみると、相手の方の濃やかな思いやりを受け止めて、それが嬉しいということをちゃんと表現するからかなと思います。

私はフリーの立場なので、基本的に会いたい人にしか会いに行きません。お会いできると嬉しいから、もう、全身で気持ちを表します。一流の方は見抜く力が優れてらっしゃるので、こちらが何も説明しなくても、全人格をわかってくださり、かえって楽でした。

そして、もうひとつ。子どもの頃から歌舞伎や新劇など舞台にたくさん触れてきたおかげで、記憶が蓄積しています。ですから「あの作品、観ました」という一言から、「そんな昔から観ていたの！」と打ち解けることも少なくありません。

平幹二朗さんにも、「初舞台間もなくの『タルチュフ』の衛兵役から観ています」と申し上げたらびっくりされ、そこから会話が弾んでいきました。しかも私の場合、演技云々ではなく妙なディテールを記憶しているので、皆さん面白がってくれるようです。