「連れ子に遺産を渡したい」という方は公正証書遺言に

参考までに申上げると離婚したA子さんに相続権はなく、また、仮に後妻に連れ子がいても、一般的に相続権はありません。

「連れ子にもどうしても遺産を渡したい」という方は、弁護士に相談の上、公正証書遺言にされることをお勧めします。「前妻には苦労をかけたから遺産を少し渡してやりたい」という方も、ごく稀にいらっしゃいます。弁護士や公証人役場がどう判断するか分りませんが、しかるべき理由を伝える必要はあるでしょう。

弁護士にも公証人役場でも前妻への財産分与が却下されたのなら、残りのトライは生命保険でしょうか。20年以上前は「愛人に遺したい」という契約が成立したケースもあったと聞いています。今は保険金詐欺防止の観点から戸籍上の第三者が受取る契約は原則認められません。ただ、ダメ元で担当者や保険会社に一度、相談をされてみてはいかがでしょうか?

結婚詐欺でも無い限り、離婚を前提に結婚する人はいないと思います。夫婦仲良く添い遂げるにこしたことはありませんが、生活するうちに価値観や習慣の違い、あるいは社会環境や仕事によって、それぞれの考え方や性格も変わっていくなどして、埋めようのない亀裂が生じてしまうこともあります。子どもがいる夫婦ほど、離婚までに悩み抜くものです。離婚は莫大なエネルギーが必要です。

「親の勝手で子どもが犠牲になった」と言われますが、一般的に好き好んで子どもを傷つけようとは親は思いませんし、仲の悪い両親のもとで育つほうがつらい場合もあるでしょう。DVなど、子どもを守るために離婚する場合もあり、離婚理由は千差万別で、他人には絶対に分らないものです。

そこをご理解いただき、シングル家庭で育った子どもへの偏見が無くなる成熟した世の中になってほしいと願ってやみません。