青木さやかさんの好評連載「48歳、おんな、今日のところは『……』として」――。青木さんが、48歳の今だからこそ綴れるエッセイは、母との関係についてふれた「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」、ギャンブル依存の頃を赤裸々に告白した「パチンコがやめられない。借金がかさんだ日々」などが話題になりました。今回は「母を思い出す人として」です。
わたしは八方塞がりだった
母との確執は30年に及んだ。
本当は自然に感謝できるようになって、いく予定だったし期待していた。
親元を離れたら親に感謝できる、親になれば親に感謝できる――
どちらも期待外れで、母との溝は更に深くなった。
3年前母がホスピスに入った時、わたしは仲直りを決行した。
「親孝行は道理だよ、親と仲直りすると自分が楽になるよ」
という友人の言葉で。
大いなる挑戦だった。何故やろうと思ったか。
当時わたしは八方塞がりだった。
母は死を間近に感じて苦しみ、わたし自身は肺がんを患い、パニック症の不安から仕事も続けられるのだろうかと悩む日々だった。