わたしは今も失敗をする

母が亡くなって、3年が経ち、どんどん好きになっているのだ。
もはや、嫌いだった時の記憶を思い出せない。
亡くなった時がゴールだと思っていたが
スタートだったような気がしている。

母を好きになり、わたしはずいぶんと楽になった。娘と接しているとき、わたしは自分の中に母を見ることが多い。この口癖、このトーン、ああ母に似てきたな。
母が嫌いだった頃はそんな自分が嫌で仕方なかった。だけど今、自分の中に母を見つけると、懐かしさを感じる、それに圧倒的味方がいると思えるのだ。
それは生きやすさに繋がっている。

青木さんの家で流れる穏やかな時間

わたしは今も失敗をする。
だけど母はわたしを諦めない。
いつも母に問うたびにこう返ってくるのだ。

「しあわせになってね」

勉強を押し付けてきた母はいま、幸せになることを押し付けてくる。
わたしは精一杯その期待に応えようと思う。
 

 

青木さんの連載「47歳、おんな、今日のところは「●●」として」一覧
 

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青木さやかさん自身が朗読して作成した単行本『母』のオーディオブックが配信開始されました。https://www.audible.co.jp/pd/B097T243BN