適切なカロリー消費量を正確に知るには

自分にとっての適切なカロリー消費量を正確に知るには、その人の筋肉量や酸素消費量を測定しなければなりません。そこから、必要なカロリー摂取量がわかり、その8割レベルにカロリーを制限することで、酸素消費の少ない体質に改善します。

とはいえ、一般の方たちが気軽にそうした正確な測定を受けられるような機会は、ほとんどないでしょう。そうであれば、今の生活のなかから、自分で目安を見つけていくしかありません。

過剰なカロリー制限は過剰なストレスや極度の栄養不足にもつながりかねず、かえって老化を促進しかねませんから、適切に制限することが重要なのは、再三述べているとおりです。

ざっくりとした目安ですが、自分にとって適切なカロリーとは体重の増減のない状態だと考えればよいでしょう。それを適切カロリー100%とする。その食べ方を、おおよそ8割にまで減らすということです。

すると、体重は徐々に減っていきます。減っていきますが、一定の数値までいくと、そこで落ち着くはずです。そこを維持できれば、マイルドなカロリー制限によって、酸素消費がやや抑えられた代謝の状態を保つことができるでしょう。

これは、あくまで、今現在ダイエットなどを何もやっていない人の場合です。その人にとって、体重の変動のない食生活を100と考え、それをに落とすということです。すでに今ダイエットをしている人は、そこからさらに8割減などとやってはダメです。激しく運動しすぎないこと。ストレスを溜めすぎないこと。食べすぎないこと。

どれもこれも当たり前のようですが、細胞老化を早めない、酸素を余計に消費するような体質にしないための、日常の生活習慣はとても大切だと思います。

※本稿は、『老化は治療できる!』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。


『老化は治療できる!』(著:中西真/宝島社新書)
近い将来、人類は老いることから
解放されるかもしれない――

歳をとっても、30代の頃と変わらない容貌と肉体を維持できたら――そんな夢のような話が近い将来、実現するかもしれない。東京大学医科学研究所などの研究チームは2021年1月、マウス実験から「老い」の原因となる「老化細胞」を除去する薬として「GLS―1阻害薬」を見出した。この薬には老化した人間の肉体も若返させる可能性があるというのだ。研究チームの東大教授が、老化のメカニズムと「アンチエイジング治療薬」の可能性を解説する。