年を重ねるにつれて、みんなと一緒の旅も貴重な時間になってくる。2021年の秋、近江の旅でのスナップ
厚生労働省の推計によると、2012年に認知症の人の数は約462万人でしたが、2025年には約700万人を超え、65 歳以上高齢者の約20%が認知症と見込まれるようになりました。身近な人が認知症になったとき、対応できるのでしょうか。2008年、シングル女性7人が集まって始めた「友だち近居」グループ、「個個セブン」。スタートから13年あまり、年を重ねるにつれて、認知症、介護、後見人問題などに直面。高齢のおひとりさま同士、どう助け合えばいいのか――。若く元気な頃には想像できなかった〈友だち近居と老い〉に向き合った仲間との日々を、最年少メンバー(74歳)の筆者が綴ってくれました。

<前編よりつづく

コロナ下でも仲間と支え合って

5人になってからも、私たちは変わらず近居を続けている。

ところが20年2月以降、新型コロナの影響で、30人あまりが集う土曜サロンは開催がままならず、仲間内で楽しんでいた歌の練習や筋トレもできなくなった。

だが、課題図書を読んで語り合う読書会は続けている。映画好きの仲間が思いついたのが、映画鑑賞会だ。

手持ちの古い映画のDVDを小さなスクリーンで上映する。『カサブランカ』『うたかたの恋』、小津安二郎監督『東京物語』などいずれも青春時代に名画座で見た映画である。

認知症の友は、いまも自宅で機嫌よく暮らしている。ITに強い仲間がワクチン接種の予約をし、接種日には別の仲間が付き添った。

私たちは理由をつけては彼女の自宅に出入りして様子を見る。料理ができなくなったと知った昨年6月、「そろそろだよね」と、介護保険の利用を申請し、要介護1と認定された。

仲間の1人は、高齢者に福祉サービスを提供する社会福祉法人の役員なので心強い。デイサービスとホームヘルパーの訪問を組み合わせて、認知症の友の暮らしはより快適になった。

しかし、新たな心配が持ち上がった。認知症の友の家に、証券会社の営業マンらしき人物らが入れ代わり立ち代わり訪れているではないか。

そこで私たちはまた話し合った。大切な老後の資金を守らなくてはならない。

4年前に任意後見契約を交わした弁護士に、彼女の後見人として活動してもらうときがきた。