「大丈夫、認知症ではありません」というお墨付きをもらって安心したかったのではないかと。(イメージ写真:Photo AC)

認知症問診テストでほぼ全問正解できた理由

認知症が疑われる母を初めて、呉市内の病院に連れて行きました。今になって考えると、母は自分でも検査に行きたかったのだと思います。そして「大丈夫、認知症ではありません」というお墨付きをもらって安心したかったのではないかと。

そう思うのには根拠があります。

認知症かどうかを判断するのに最もよく使われるのは「長谷川式認知症スケール」といわれる問診テストです。この存在を母は知識として知っていました。私が、この問診を受けて認知症と診断された人を取材したことがあり、母も娘の作った番組として見ていたからです。

ここから先は私の想像ですが、母はこの問診で良い点を取るためにひそかに予習をしていたんじゃないかと思うのです。

長谷川式テストはあらかじめ質問が決まっています。「桜・猫・電車」という三つの単語を覚えさせてしばらく他の質問をした後、

「さて、先ほど覚えてもらった三つの単語は何だったでしょう?」

と聞くものもあります。母はすかさず、

「桜・猫・電車!」

と答えたのですが、もしそう聞かれることを前から知っていたとしたら……。