「別人」になっていく姿に揺れた心
「今、信友さんがやらなきゃいけないのは、お母さんを心から愛してあげることだよ」
認知症専門医の今井先生にかけられたこの言葉は、実はぐさりと胸に刺さっていました。今まではぐらかしてきた自分の気持ちに向き合う時が来た、と思ったからです。
はたして私は、認知症になった母を今までのように愛せているのだろうか?
大好きだった母がどんどん別人になってゆく。おもらししても知らん顔。指摘するととぼけ、そのうち逆ギレして、
「私はおらん方がええんじゃろ!」
こんな姿を見せられて、心が揺れないはずはありません。
悲しさ。情けなさ。絶望感。認知症の肉親を介護している人なら、誰もが思い当たる葛藤ではないでしょうか。