家族の役割は「母を愛すること」

介護のうち他人にでもできることは、プロの方がうまいんだからプロにお任せした方がいい。

『ぼけますから、よろしくお願いします。おかえり母さん』(著:信友直子/新潮社)

わかりやすい例を挙げると入浴介助。これは、研修を受けているプロの方が家族よりはるかに上手です。本人だって、家族にふらつきながら介助してもらうよりも格段に安心できて、気持ちいいのです。

それでは、家族が果たすべき役割とは何か。今井先生は、

「その人を心から愛すること。これに尽きるよ」

とおっしゃいました。これはどんなカリスマヘルパーさんにもできない、家族にしかできないことだと。

「介護はこれから何年続くかわからないんだから、家族だけで抱え込んだら絶対パンクするよ。他人に頼る覚悟を決めないと。自分が疲れちゃって、お母さんのことを恨むようになったらそれこそ本末転倒だよ」

先生のその言葉に、心の霧がサーッと晴れていくような気がしました。