『老いを愛づる-生命誌からのメッセージ』(著:中村桂子/中公新書ラクレ)

続きはまたでいいでしょう

草取りや落ち葉掃きはもちろん、日常の家事はどれもいつ終わるともなく続くものばかりです。何もかもきちんとやろうと思ったら疲れますし、終わらないのは自分の不手際のように思えて落ち込みます。年齢を重ねれば、そのようなことが増えていきます。

そこで、そろそろ疲れてきたなあと思う時、「キリがありませんから」と言って切り上げることにしました。最近では、仕事切り上げの時の常套句(じょうとうく)になっています。

キリがないのだから終わらないのは仕方がない、続きはまたでいいでしょうという気持ちで終わると、罪悪感がありません。

できないのは私のせいじゃありませんと。寅さんに「ほんとにキリがありませんね」と語りかければ、ニコニコしながら「そうだよ、そうだよ」と言ってくれるに違いないと思いながら。