嫌われることを恐れるな

今、好きでもないママ友との付き合いは無理しなくていいと書きましたが、「嫌われたくない」という気持ちを持つ人は少なくないようです。『嫌われる勇気』はそうした人々から支持を受けたのだと思います。

しかし、この本が出版されて以来、「嫌われる勇気」という言葉だけが一人歩きしてきた感があります。嫌われてもいうべきことはいわないといけないというような主張をする人がいますが、その当人は十分嫌われているので、その上、嫌われる勇気は必要ではありません。

本当にいうべきことをいったからといって、それが正論であれば嫌われるはずはありません。聞いた人は納得するはずです。納得を得られないのであれば、さらにきちんと説明を加えればいいのです。話の内容と話す人の好き嫌いは、本来関係がありません。

どんな人に「嫌われる勇気」が必要かといえば、同調圧力に屈したり、空気を読みすぎたりして、いいたいことをいえない人であり、また、人から嫌われることを恐れて自分の人生を生きられない人です。そのような人に、わざわざ「人から嫌われなさい」といっているわけではなく、「嫌われることを恐れなくていい」といいたいのです。

カウンセリングをしていた頃、自分は他の人と違って明るくはない、暗い自分の性格を何とかしたいという若い人にたくさん会いました。自分の性格を変えられないわけではありません。なぜなら、性格は生まれつきのものではなく、後になって自分で選んだものだからです。