気付けば現場のスタッフは自分より年下ばかりに
京都・太秦撮影所で、主演クラスの女優さんがもっとも美しく映るよう、照明スタッフさんたちが、それぞれの女優さんの肌の色や雰囲気に合わせて光の組み合わせを考えてくれたというのです。
もちろんそれは、「照明さんたちとの関係性がいい女優さんたち」の特権だったのでしょう。
メイクさんと女優さんの関係も似たものがあるそうです。もちろん、照明さんもメイクさんもその道のプロですから、精一杯のことはしてくださいます。でも、さらに一つ上…となると、やはり、裏方さんたちのことを気遣う好感度の高い女優さんに対してだから、ではないでしょうか。
60代も半ばになれば、現場のスタッフの大半は自分より年下ばかり。現場のトップや監督、演出家でさえ、年下の方が多くなったとき、「あの人は使いにくい」「仕事がしづらい」となると、「じゃあ、別の人に」ということになりかねません。
バラエティの女性放送作家では、私はもう10年以上前から最年長です。チーフプロデューサーも、もう10歳程、年下の方たちばかり。現場に私がいるだけで、周囲に緊張感やプレッシャーを与える空気を肌で感じることも度々あります。
そんなとき、私はいつも大学の同級生、名取裕子さんのことを思い出します。気さくで、いつも楽しくて明るくて、監督でも裏方さんでも、後輩俳優や後輩女優にも分け隔てなく接することが、現場で永く愛される秘訣なのだと……。
これ、仕事以外のコミュニティでも同じですよね、きっと。
「めんどくさい人」という評判になってしまったら、相手に不快な思いをさせるのはもちろん、自分もいろいろやりづらくなってしまうことと思います。
ゴールデンウィークに誕生日を迎え、四捨五入したら70歳になった私。「めんどくさい人」にならないよう、名取さんを見習いたいと思っています。