閉店から1時間後くらいに来るデータを見て、曇りの時はどうやとか、雨の時はどうやとか分析して。特に資金繰りにはうるさいですね。これだけの予算があるからこれだけのことができて、こういうトラブルがあった時にも耐えられるとかっていうのを、結構細かく言っています。兵糧さえあれば籠城でもなんでもできるけど、そこを侮ったら、一気に崩れるからダメだよって、戦にたとえながら。(笑)

経営者としてしっかりコミット。厳しく明るい社長、今村さん

ビブリオバトルを「ラップバトル」に

「まつり旅」と同時並行で今やっているのが、公益社団法人の設立です。そこでは、本にかぎらず、言葉や文字に関わる人たちと一緒に、それらの力をいろいろな角度から若い人たちへ伝えていけるような活動をしたいと思っています。作家やアナウンサーを学校に派遣して講義をしたり、作家と一緒に地域の書店で本を一緒に選んだり……。

例えば、1000円の図書カードを法人から学校にプレゼントして、その中で子どもたちに本を選んでもらう。子どもたちに買った理由を聞いて、その選び方面白いねって、それでいいんだよって肯定してあげるようなことをしたい。他にも、ビブリオバトルの高校生大会などを、「ラップバトル」みたいにかっこよく演出して、もっと認知度をあげられないかな、とか。僕は元々舞台の仕事をやっていたから、そんなこともできるんじゃないかなって。いろんな野望があります。

作家としてよりよい作品を書いていきたいという気持ちはもちろんありますし、まだまだ書きたいテーマもあります。作家だったら執筆活動に専念して……という考えの方もいらっしゃると思いますが、僕はこの業界を盛り上げることをやる作家がいてもいいのかな、と思うんです。だからテレビに出演するなど、積極的に表に出るようにしています。直木賞の発表の時も、落選した姿をさらすのを覚悟してテレビクルーに入ってもらいました。

最近は僕みたいなタイプの作家は少ないので、「今村は昭和の香りがする」と、一部の先生方はおっしゃったりもします(笑)。やっぱり直木賞作家には派手でいてほしいと思っている方はいますし、僕自身もそうありたいと思っています。

直木賞受賞の日、人力車で会場に駆け付けた今村さん

「今村翔吾のまつり旅」の出発は5月末。47都道府県をめぐる旅を通して、きっと僕はたくさんの出会いを経験するでしょう。100日程度はかかると思うのですが、旅を終えて戻ってきたとき、僕が見ている景色ってどんなものだろうと考えると、好奇心が湧いてきます。好奇心は作家にとって一番必要なもの。どんなおもしろい発見や出会いがあるか、楽しみでなりません。


●今村翔吾のまつり旅

5月末からノーギャラで全国の読者や子どもたちに会いに行く。題して「今村翔吾のまつり旅」。一度も家に帰らずに約100日間、ワゴン車で全47都道府県の学校や書店などを巡る予定

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