101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『新玉ねぎの爽やかさを丸ごと味わう』

「新玉ねぎの丸ごと煮」は、シンプルでおいしい料理です。

玉ねぎは一年中出回っていますが、春から初夏にかけて出る新玉ねぎは、みずみずしくて独得の爽やかさがあり、甘さもひとしおです。

毎年、新玉ねぎが出ると必ず作るのが、この料理。昆布と鰹節のダシに、薄口醤油とみりん少々で味をつけ、表皮一枚はいだ玉ねぎを丸のまま、汁だくさんでコトコト煮込みます。竹串を刺してみて、いい手ごたえだと思えるところで、火を止めて。

春から初夏にかけて出る新玉ねぎは、みずみずしくて独得の爽やかさがあり、甘さもひとしおです(写真はイメージ。写真提供:photo AC)

なんといっても、煮えばなが一番おいしいのです。

たっぷりの汁と、一個丸ごとの新玉ねぎを器に盛り、まず一口汁を吸って風味を楽しんで。それから、箸で玉ねぎを崩しながら食べるのが醍醐味。

和風の味つけに新玉ねぎの味や香りが加わって、なんとも言えないおいしさです。シンプルで簡単だけど、梅雨時にぜひ食べたくなる味です。

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