「キリンの保育園」

大事なのは自分を知ること

ところがすぐにアイデアに詰まり、粘土をこねてみたり、スクラッチアートを描いてみたりしたものの、思ったような作品はできない。「何か新しいことをやらなくては食べていけない」と焦りながら過ごしていたある日、SNSで切り絵作家の作品を目にする。

「繊細なレースのようにフワッとした、細い線の美しいものでした。自分はそこまでうまくはできないけど、集中力には自信がある。すぐに画材屋さんに行ってマットやナイフなどの道具を揃え、その夜から始めました」

切り絵はリトさんに向いていた。過集中が役に立ったことはもちろん、色を塗ったり陰影をつけたりといった絵画の基本的なテクニックが不要だったからだ。ただ、切り絵も作品によっては日数がかかり、すぐSNSにアップできない。そのうち海外のアーティストが葉っぱを使っているのを見て、葉っぱを拾ってきてやってみたところ、出来はイマイチながらも形になった。

「自分でも、これは楽しいぞ、と感じました。
最初は自分の好きなアニメキャラクターなどをテーマにしていましたが、独りよがりでは見る人の心に届かないことに気づいて。そこからは、自分だけにしかできないものをつくらなくてはと工夫しました」

「今度はお星さまをつかまえてきて!」