収入の問題が解決、次は家族の説得

また、住宅ローンについては、おかげさまですでに完済していましたので、こちらも心配なしです。僕はもともと無趣味で物欲が乏しい人間で、多少余裕ができると、こまめに繰り上げ返済を励行していました。それも、功を奏したようです。

『53歳の新人 NHKアナウンサーだった僕の転職』(著:内多勝康/新潮社)

今後の人生設計についてそろばんをはじいた結果、家を売ったり車を手放したりしなければならなくなるようだったら、さすがに諦めていたでしょう。幸いなことに、「今の生活を大きく変えることにはならない」という結論でしたから、ジグソーパズルの重要なピースが一つ埋まりました。

次に「家族の反対はなかったのか?」──これが最も重要なピースです。

最初の関門は、もちろん妻です。妻には普通に、話があると前置きして、

「NHKを辞めたい」

と伝えたら、

「いいんじゃない」

と、拍子抜けするくらい、すんなり受け入れてくれました。

後でわかったことですが、妻としては、僕が言い出したということは「どうせもう決めてるんでしょ。今更反対しても意志は固いんでしょ」というふうに理解してくれたようです。確かにその通りでしたし、そこは長年の付き合いだからわかるわけです。

もし妻が反対していたら、ずいぶん悩むことになっただろうと思うので、とても助かりました。感謝と共に、第一関門突破です。