最後の関門、義父への報告
そして、最後に残った関門が、一番心配するだろう妻のお父さんでした。娘婿の転職と聞いて、義父の心境はいかに……?
「大事な話があります」と事前に伝えた上で、香川県高松市の妻の実家に直接足を運びました。
「お義父さん、こちらに座っていただけますか」
と切り出し、いつもと違うなにやらかしこまった雰囲気の中、
「NHKを辞めることになりました」
と伝えると、なんと、お義父さんまでも、
「それはよかった」
と言うんです。
でも、長男の「それはよかった」とは、ニュアンスが違っていました。
「大事な話がある」とわざわざ四国まで来るということは、ひょっとしたら離婚するのかと思ったらしく、転職と聞いてホッとしたとのことでした。
娘を持つ父親っていうのは、そういう発想をするのか、なるほど親の気持ちとはこういうものかとしみじみ感じながら、最終関門も突破することができました。
お義父さんにしても長男にしても、余計な心配をさせてしまって悪いことをしたなと思います。ただ、面白い発見がありました。「大事な話がある」と前置きをすると、最悪の想像をして身構えるもの。
そこへ「実は前向きな話でした」というオチをつけると、なんだ、そんなことか……という安堵感が生まれ、すんなり受け入れてもらいやすくなる、という法則です。皆さんも機会があれば、試してみてください。
こうして転職のピースがすべて埋まり、NHKを去る決意が固まりました。